縦糸の知・横糸の情

私が尊敬している某企業の人事役員から聞いた話です。当然、その会社では実践しています。

『縦糸に、知性・論理・知識・客観性を持ち、横糸に情念・感情・直観・感性を持ちなさい。』

その役員は、縦糸も横糸もいずれも強烈で強い、妥協を許さない人でした。縦糸だけでは、単なる物知り、評論家に終わります。横糸だけだとある種、宗教者に近いような存在か、単なる強情者に映るでしょう。

 縦糸の知識の源泉は、猛烈な勉強です。人事のプロになろうとする人は読書家でなければなりません。それも表面的でなく深く知らなければなりません。

 横糸の情は、先天的なものも大きいでしょうが、後天的なものも大きいのです。自分に課せられた「役割」からくる「責任感」、経験を直観まで高める「昇華力」、失敗や経験からくる人間に対する「観察力」、「洞察力」を意識して磨く努力を惜しんではいけません。

 縦・横のバランスのよい人は、知りえたことは実行します。「実行のない知は、知にあらず」といいますが実行したことは全員に徹底させることが重要です。言いっ放し、やりっ放しは決してしない。かけがえのない資質だと思います。