私が参加している“経営塾で聞いた話です

23.私が参加している“経営塾で聞いた話です”

地方のある建設会社の話です。A氏は、会社を一代で工務店から地方の中堅建設会社にしました。年商は80億円。社員も60名になりました。後継者の息子を社長にし、自分は会長になりました。従業員は、ここ数年でようやく、この業界特有の転職組と、新卒者組の半々になりました。3年前、業績は一時期苦しかったが、A氏は、一代でここまで会社を築いてきました。息子の社長もある程度社長らしくなってきましたが、まだ経営は盤石ではありません。彼は、他の力を借りようと決意しました。そして、B氏に従業員教育を依頼しました。

B氏は教育政策のベテラン、かつて会社の経営者としての経歴をもつ人物です。内容は割愛しますが、全員が揃うのは業務が終了してからでしたが、会長、社長以下全員に教育したそうです。若手の社員には「未来委員会」なるものを作り、将来ビジョンを作らせました。

会長は、毎回必ず参加しました。ある日、A氏はB氏に、「いままで何がこの会社に欠けていたのか。なぜ、あなたが属していた会社が発展したのか分かった気がする」と言ったそうです。教育の成果は、意外な所に出たそうです。中途入社組と新卒組、年配者と若手、部署単位の垣根が無くなってきた。ひとことで言えば、コミュニケーションが良くなったということです。社員に自信が生まれ、営業活動も活発になり改善が進んだ。業績はみるみるうちに向上した。こうして低迷期から抜け出し、公共工事も順調にとれ、一般住宅施工にも乗り出した。鉄骨工事は、他者の追随を許さない品質と価格で、多くの競争に打ち勝つことができるようになりました。

A氏は、会社、とりわけ社員を、「公」と考え、お金と時間をつぎ込んだのです。社員も自分達のために教育を提供してくれる会長の姿を見ました。そして、同じ時間を過ごした時、信頼と絆が生まれました。       全く逆の会社、役所もあります。