人間理解『さそりと蛙』

「自分ほど、癖のないバランスの取れた人間はいない」と多くの人が思っていると思います。自分の本当の姿を、正確につかむのは難しいです。人間の性格もまた、ひと様々です。それをまず良く理解し、その違いを頭に入れ、それにふさわしい対応をしていくことが求められます。今回紹介する「さそりと蛙」はその話をよく物語っています。

………………………

さそりと蛙が、川を前にして、なにやら話をしています。

さそり「この川を渡って向こう岸へいきたいのだが、俺は泳げない。俺を背負って運んでくれないか?」

かえる「とんでもない。もし、貴方を背負ったら、貴方はきっと後ろから、私の背中を刺すにきまっています。そんな危ないことは、引き受けられません」

さそり「そんな馬鹿なこと、する訳がないじゃないですか。私が貴方を刺したら貴方は溺れてしまい、私だって死んでしまうことになる。だから、安心して、私を向こう岸まで運んで下さい。」

さそりの話に納得した蛙は、さそりを背負って川を渡り始めました。

順調に進んでいき川の中ほどに来たとき、突然さそりは、蛙の背中を刺しました。

溺れながら、蛙は、さそりに言いました。

かえる「自分名死ぬのが分かっていて、どうして私をさすのですか?」

さそり「貴方には悪いが『刺すこと』は、さそりの『性(さが)なのさ』と答えたのです。

………………………

この話は、不合理で馬鹿げていますが、人の性格は本能まで入り込んで、他人が理解するのは、難しいことを象徴しています。単一民族といわれる日本人には、諸外国で民族紛争や宗教戦争はなぜ続くのか不思議です。ここで言う『さが』のレベルまで原点に戻らないと理解できないこともあります。