愛社精神

ある化粧品会社は、宣伝という理由から女子社員に会社の制服を着せて通勤させたことがあります。出社してからの外出でなく会社の行き帰りにです。また、あるデパートは通勤に自店の買物バックを使わせました。ある車メーカーは、従業員や取引業者にそのメーカーの車に乗っていないと、駐車場を使わせないという話を耳にしたことがあります。これはみな、会社の権力支配であり、愛社精神とは言えません。

私は長い某社勤務時代に、上司から「愛社精神」という言葉を聞いたことがありません。もし、愛社精神を部下に強いるようなことがあれば、「アホカ、君は。そんな暇があったらもっと勉強せんかい!」と注意されたでしょう。某社の精神は、

愛社精神」でなく「帰属意識」なのです。

帰属意識とは一体感です。

自分の職務が全体に貢献しているという、達成感に似た自己満足を持てるかどうかなのです。仕事が順調な時も、不振な時も、成功した時も、失敗した時も、会社が見てくれている。受容されているという安心感があるかどうかです。従業員にとっての不幸は、叱られもせず、褒められもせず、声もかけられず、無視されることなのです。私もよく上司から声をかけられました。