「お客様満足」(その三)池が3つあるのですか?

紀元前5世紀の頃、ある村に暴れ馬を操った、若い王子様がやってきました。とある家の庭に飛び込んでいくと、家から娘さんが出てきました。王子は娘さんに、こう言った。

王子「泥道を走ってきたので、足が泥だらけだ。足を洗いたい。水をくれないか…」

 

娘は、池から桶に、水を汲んで差し上げた。

 

王子「次に顔を洗いたい。もう一杯水が欲しいのだが…」

 

   娘は、再び、池から桶に、水を汲んで差し上げた。

 

王子「お陰でさっぱりした。最後に水を飲みたいのだが、一杯頂けないか…」

 

   娘は、三度。池から水を汲んで差し上げた。

 

王子は、その水を飲んだ瞬間、驚いた顔をして娘に尋ねた。「この家には池が3つあるのか?…」

 

娘   「いいえ一つしかありません」と、何もなかったように答えた。

 

王子「しかし、今私にくれた水は3回とも温度が違うように思えたが、どうしてなのですか?…」

 

娘はこう答えた。「最初は、足を洗われるということで御座いましたから、温かい水が良いとおもいましたので、日の光がたっぷりあたっている『池の上の部分の水』を汲みました。次は、顔を洗われるとおっしゃいましたので、少し冷たい方が良いかと思い、『池の中ほどの水』を汲みました。三度目は、飲まれるとのことで御座いましたので、『池の底の一番冷たい部分の水』を汲んだ、だけのことで御座います」

 

この話を聞いた王子は「相手の状況を考えた、きめ細かい対応」に感激し、この娘さんにプロポーズをして、結婚できたということでありました。めでたし・めでたし

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