『踊る大捜査線』にみる組織とリーダーの醍醐味(その二)

 

【事件に大きいも小さいもない】

私の大学の専攻科目は経営学です。社会人の後半(50歳)になって某ビジネススクールに入学しました(50歳を超えた生徒は私1人。20後半から30前半が中心)。

その時の教授は、「警察組織」に非常に興味を持っていました。講義は学生(日本を代表する名だたる大企業から派遣されたエリート)にすごく人気がありました。

ビジネススクールの事例研究というとほとんど企業ばかりですが,彼は警察組織を題材にしていました。

「なるほど、組織とはこういうものか」とそこから見えてくるところがあるのです。

例えば、

ピストルを撃つときの新人の警官も実は震えるほど怖いのだとか…。私も逆に、企業のトップが語っている話なんかを読んでいると、「踊る」を観ながら感じたことと通じるところが結構あります。ただ、これまで大所高所に立って組織や経営を語ろうと思ったことなど一度もなくて、今回、普通の人にとって一番共感が得られる所ってどこだろうという視点で考えてみました。

例えば、

主人公の青島刑事(織田裕二)の同僚のすみれ(深津絵里)が、

所轄の仕事を無視する本庁の官僚に対し、「事件に大きいも小さいもない」と反発する場面です。    

その場面で、そう言い切ることは大切でも、それだけでは共感は得られません。という言い方は確かに感動的で、無茶苦茶ビューティフルではあるけど、みんながそのとおりやったら困るところも実はあります。実際、小さな事件に関わっている人間も、大きい事件が起きればすごく気になると思います。

でも、自分から行くわけにはいかない。そこで、結果的に大きい事件に巻き込まれ、もとの仕事ができなくなって初めて、小さな事件も大切なのだとはたと気づく。

それがリアリティーを生み出していったのだと思います。