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『踊る大捜査線』にみる組織とリーダーの醍醐味(その八)

※やはり最後はリーダーで決まる

そのすぐ後にも印象的なシーンがあります。

闘争する犯人たちに向かって、青島が「君らにはリーダーがいないんだってな!」と叫ぶと、犯人側が「ああ、究極の組織だ」「リーダーなんかいると個人が死んでしまうんだ!」と応酬する。

すると、青島が「リーダーが優秀なら組織も悪くない」とニヤリと笑う。

室井の登場は何をもたらしたのか。

捜査本部の組織のあり方を変えただけでなく、それによって、「この街を知り尽くしている自分たちがこの街を守る」という信念を現場の1人ひとりに呼び起させた。

狂気的な信念でつながったテロ側と、自分たちの街を守る強い信念で一つにまとまった警察側信念対信念の対決

こうなると多勢に無勢で、人数の多い方が最後は勝ちます。

※組織変革のヒント

最後に警察が勝ったのは、組織論的にいうと、階層組織であっても、ミッションを掲げ、しかも現場のことが十分にわかったサーバント・リーダーが上に立てば、現場が変わり、強くなっていくことを示している

ただ、この形が成り立つには、もう一つの役割が必要です。

上と現場の間に立つつなぎ役です。

実はその役割を、『THE MOVIE2』では、青島が果たしたんです。

この映画には私の大好きなシーンがあります。室井が本部長に就任し、みんなに情報を寄せてほしい、階級や役職は忘れてくれと訴えたとき、所轄の人間は戸惑ってすぐには反応しなかった。そのとき青島がすっと前に出て、「室井さんは現場を知っているおれたちとやろうと言っている。この街を知っているの、おれたちでしょ」と語りかける。

この場面です。室井と現場との間の結節点にたって、色々あるけれど、この男を信じてみようよと、室井の指示を現場につなぐ。下の気持ちを上に伝えるだけでなく、上の気持ちもきちんと代弁できる。このつなぎ役がいなければ、組織は本当は回らないのではないか。優秀なリーダーも大切だけど組織に一番必要なのはこのポジションではないかと、強く感じました。