1.タイタニック号に学ぶ(2編)part2

2回目

三つ目はタイタニック号の見張り員が、双眼鏡の引継ぎをしていなかった為、氷山の

発見が遅れたことです。私たちも、日常、十分気を付けなければいけない教訓でありま

す。「発車オーライ!とか出発進行!」といった、声を出しておられる鉄道の乗務員の

方とか、大声で引継ぎ確認をされておられる警備会社、警察のみなさんのように、どの

職種でも、事故防止の為、確実な引き継ぎは重要です。

四つ目は慢心です。この日は、処女航海を祝うように、空は「晴天」であり、海は

「なぎ状態」でした。ここに気の緩みが起こったのです。こういう華やかな時ほど、

「安全に漏れはないか」特に注意する必要があったと思います。仕事も同じで、このよ

うな時こそ慎重さが必要な場面なのです。

五つ目は、引退を前にしたスミス船長が、大西洋横断の航海新記録を狙い誘惑に負けて

大西洋の中でも、氷山の多い、最も北寄りのコースを選んだことです。「お客さまの安

全最優先」という基本を忘れは初歩的な失敗です。

………

尚、エピソードとしてご存じの方もおられると思いますが、このタイタニック号には、

当時、鉄道院副参事の細野正文さんと言われる日本人が一人だけ乗船していました。幸

いにも生き残った彼は、「タイタニックの生き残り」というレッテルを貼られ、世界中

からバッシングを受けます。後に「名誉回復」となるのですが、彼は、あのYMOの細野

晴臣氏の祖父なのです。今も4000mの海底に船体を二つに折って、多くの財宝や御霊と

ともに静かに眠っています。ご冥福をお祈りします。

               (完)