オーストラリアの世界地図(2部構成)

お客さま視点とはいいますが…

第一部

私たちが如何に、固定概念に包まれて生きているか」ということを、感じさせられた思い出の話をいたします。10年あまり前のことです。

中学生の頃、ラジオを聞いていますと、次のような話が聞こえてきました。最初は「聞く」状態でしたが、話が続くうちに「聴く」体制に体が変わっていました。ラジオでは2人の会話が続きます。「世界地図を見ると、オーストラリアは、日本の真下にあるますね。オーストラリアの人は、朝、目が覚めると、自分の国の上に日本があることがあることに気づきます。これって、面白くないのではないでしょうか?」すると、対談している別の人が、冗談気味に、「オーストラリアには、オーストラリアが、地図の上半分に記載された『上が南』の地図があるかもしれませんね(笑)」私は、この言葉に強い刺激を覚えました。しかし、いつの間にかこの話題は、頭から消えていました。それから30年の年月が経ち、オーストラリアへ行く機会が出来ました。すると、30年前の記憶が、突然稲妻の如く蘇ってきました。

……

ところで、日本やアジアで使われている世界地図は、太平洋が中央に描かれていて、日本は、その真中に描かれています。アメリカで販売されている地図は、アメリカ大陸が、更にヨーロッパのそれはヨーロッパ大陸が、地図の中央に来ています。ヨーロッパ諸国の地図では、南北のアメリカ大陸が左側に来るので、アジアは右側、特に日本は、一番右端、即ち東の端ということになります。日本が「極東」と言われるゆえんであることはご承知の通りです。これらの地図は、いずれの国も自分の国を中心に、「上が北」の世界地図を見る固定概念で固められています。経度から見ると、オーストラリアは、日本とほぼ同じですから、公式的には、日本と同じような世界地図を使っています。しかし、当時、30年前の記憶が蘇ってきた私は「上が南」の地図を探しはじめました。ガイドさんに『「上が南」の世界地図は、ありますか?』と恐る恐る尋ねてみました。一緒に行った同僚が「なんてバカな質問をするの?」と冷やかしました。しかし、ガイドさんは「ええ、ありますよ」とあっさり言われました。どうしても持って帰りたいと思い、必死になって探し、手にすることができました。

………

では、何故こんな地図が作られたのでしょうか?この地図には、「南が上」の地図を作った理由が次のように書いてありました。文字の行間に込められている気持ちを推察しながら紹介すると次のようになります。「世界で使われている地図は、たかだか300400年前に、ヨーロッパを中心とする世界の探検家(コロンブスバスコ・ダ・ガマ等)や、地図学者(メルカトール)等によって作られました。彼らは、北極星を目印にし、方位磁石を使って地図を作成した。そのため、北半球が上半分に描かれています。当時、今の南半球には、それに対応するだけの国も学者もいなかったのは事実です。だから仕方ないが、今日では、南半球にも、北半球の国に負けない立派な国も多くなってきました。立派な人材も排出している。だから、いつまでも我々が、地図の下の部分に描かれる筋合いはない!」と。

※文が長くなり申し訳ございません。

私は、話をし出すと止まらないものですから…続きは明日