時間勝負か付加価値勝負か

 

時間勝負か付加価値勝負か  短編になりますが、3連載致します。

経営戦略の違いを感じて頂ければいいのですが・・・

第一篇は「コーヒー」第二編は「ハンバーガー」第三編は「お寿司」です。

 

…コーヒー…

挽いた深炒りコーヒーの粉の層に、蒸気圧をかけて、瞬時に抽出する飲み物「エスプレッソ」は、豊かなコクを持つ、コーヒーのエッセンスを飲むようなものです。

小ぶりのカップに、25~30ccを注ぎ、そこにたっぷりの砂糖を加えて、2~3口で飲み干すのが本場イタリア流。イタリアの各都市によって、焙煎度合いや、カップに注がれるエスプレッソの量も、地域性があるようです。

極上のエスプレッソは、コーヒーのほろ苦さが砂糖とまじわり、まるでマスカットを想わせます。

エスプレッソの誕生に欠かせないのが、産業革命を支えた「蒸気」の力です。

20世紀に入り、イタリア・ミラノのべゼラ社が開発したコーヒー抽出機械がエスプレッソマシンの始まりとされていますが、1855年フランス・パリで開催された博覧会で、蒸気を利用したコーヒー抽出機械が既に登場していました。

それまでコーヒーは、煮出すか、漉(こ)して抽出する方法しかなく、コーヒーを入れるにも時間がかかり、その上、大量に作り置きしたコーヒーを飲むというスタイルが主流でした

注文を受けてから、目の前で1杯ずつ抽出する為、新鮮な味わいと芳醇な香りを漂わせるエスプレッソは、これまでとは、全く違う特別なコーヒーとして、瞬く間に都市生活者の中に定着していきました。

そして、客を待たせることなく、提供される速さに驚いた人々は、そのコーヒーのことを急行列車(EXSPRESS)の意味を持つ「エスプレッソ」と呼ぶようになりました…というのが一般的にもよく知られている語源ですが、その頃の急行列車といえばもちろん蒸気機関車であります。

当時、みんなが憧れを抱いていた機関車の力強さ、その源である蒸気の力が加わった、1杯のコーヒーに人々は新しい時代の豊かさを、感じていたのではないでしょうか。

 

次回は「ハンバーガー」…皆さんは、マック派それともモス派?