目指したい行動(全2話)その1
サービスの心構えは「無上意(むじょうい)」です。
これは、仏典の言葉で「これ以上ない行為」という意味だそうです。
2つの話を紹介します。
その1
苦楽を共にしてきた奥様を定年前に亡くし、四国八十八か所の巡礼を終えた、ある一人の男性が立ち寄った高知空港の日本料理店で、ビール1本と土佐名物カマスの姿寿司を注文されました。
男性から「申し訳ありませんが、グラスは二つで」と注文をうけたウェイトレスは、不思議に思いながら指示に従い、まずビールとグラスを二つ出したそうです。
すると男性は、亡き奥様の写真をテーブルの中央に置き、その前のグラスにもビールを注ぎ乾杯したそうです。
ウェイトレスは瞬時に事情を察し、寿司を運ぶ時には、箸と箸置き二組、小皿を二枚お持ちしました。
後日、お店に届いた男性からの手紙にこうあったそうです。
「四国への旅には家内の写真と一緒に出かけ食事の時には一緒にビールを飲みました。
しかし、お箸とお小皿を二人分出していただいたのはお宅が初めてです。
驚きました。
感動で身体が震えました。
帰りの飛行機で涙が止まりませんでした。ほんとうに有難うございました」
と………・