真剣勝負…戦国武将達は何故真剣に論じるのか?(全2編)その2
その2
今の時代、動機付けを考えるに当たって、先ず上がってくるのは、「夢を持たせる」とか、「成果を評価する」とか、「褒賞を与える」とか、好ましいものを与えることばかりです。
上手くいかなかった時のマイナス要素がすっかり影を潜めているような感じがします。
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戦国武将と現代ビジネスマンとでは、置かれている状況にこれほどの違いがあります。目標が達成できずに夢破れても、成果に対する評価が得られなくても、褒賞が与えられなくても、ただそれだけのことです。
既得のもの、例えば資格とか職位といったことは、殆ど失われないことが多いのです。
一方、戦国武将達は、戦に勝つという目標が達成されなければ、命をはじめとして、家族・禄高・領土といった既得のものを全て失うのです。
こうした見方をしますと、好ましいものを獲得するためより、嫌なことを避ける為の方が、より強い動機付けになると、受け止めることが出来そうです。
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ある電設機器メーカーで、「休日を増やしたら、かえって売上が伸びた」ことが話題になったことがあります。
これは、作り話でなく事実であることに間違いありません。
この一件も、上記の見方で説明できそうなのです。
休日が増えることは、社員にとって、嬉しく好ましいことです。
しかし、休日を増やすことによって売上が下がったら、また元の休日数に戻すことが、暗黙にでも感じられたらどうなるでしょうか。
一旦馴染んだ多い休日数が減らされることは、社員にとっては嫌なこと、避けたいところなのです。
こうした暗黙の諒解のようなものの存在が、社員を強く動機付けたと考えられるのです。
こうした動機付けにより、売上が下がるどころか伸びたのですから、この休日を増やす案は、社員が自らの努力によって勝ち取ったものと、感じることができます。
もし、「売上を何%伸ばしたら休みを増やす」と言う動機付けだったら、恐らく休日を増やすという計画は、実現しなかったでしょう。
その場合には、売上を伸ばすことが出来なくても、社員たちが失うものは何も無いとい
うことが多いからです。
真剣勝負、それは言葉だけでなく、実践で問われていると言えるでしょう。
明日から、「常識を疑う」思考についてみていきたいと思います。
題して「常識の疑い方」。
全4編をお送りします。
明日、日曜日は夜8時以降にアップ致します。
それでは,みなさま、素敵な週末をお過ごしください。
「キュ」