自由な心(全3話)その1
「遠くて近きもの。極楽、船の道、人の仲」清少納言(枕草子より)
ある日、白隠禅師のところに、たいそう立派な武将が訪ねてきて、
こんなことを問いました。
「白隠殿、天国と地獄は本当にあるのでしょうかな?またあるとしたら、どこにあるのか教えてはくださらぬか?」
すると白隠は、いきなり大笑いを始めたということです。
「はっはっはっ!身なりだけは立派なようじゃが、そんなこともわからんとは、本当に間抜けじゃのう!」
…………
それを聞いた武将は顔を真っ赤にして激怒しました。
「この無礼者めが!叩き切ってくれるわ!」
そう怒鳴るなり、腰の刀を抜いて白隠に振りかざします。
白隠は、武将から逃げ回りながら言いました。
「それそれ、それが地獄じゃ!地獄の門が開かれたぞ!」
はっと、気がついた武将は、深く感じ入り、
「なるほど、そういうことなのか。地獄とは己自身の心が創り出すもの。
ものの本質を見ようとせずに、ただ己の心の状態に振り回されていることなのですな。
いや。これはありがたい・・」
と言いながら、深々と白隠に頭を下げたということです。
すかさず白隠はこう言います。「ほれほれ、極楽の門が開かれましたぞ」
明日(その2)はここからです。
この世界は、私達のためだけに作られたものではありません。
「こうあって、くれたらいいのに」といくら強く思っていても、
この世の全てのものや人が、自分に合わせてくれるものではありません。
だから、生きていく上では、色々な嫌なことにも出会います。・・・
(本当は、この世界は、私達のために用意されたものだとも言えますが、今はそう考えてみて下さい)
‥‥‥
それでは、今日も素敵な一日を…「キュ」