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感謝(全4編)その4

私は体中が温められたような気分だった。

その友人は二年後に亡くなった。

周囲の人の殆どは知らなかったが、彼はずいぶん以前から、重い病を抱えていたという。

勿論、私はそんなことは全く知らなかった。

………………

郷里に住む高齢のご両親に代わって、友人たちが、彼のアパートの整理をした。

そのうちの一人が、後日、私に電話してきた。

「彼の部屋は、張り紙だらけだった。

テレビには『笑いに感謝』、

流しの水道には『水に感謝』、

トイレには『排泄に感謝』、

ベットには『眠りに感謝』、

それに・・薬の入った箱にまで貼ってあるの。

何て書いてあったと思う?

『病気に感謝』って書いてあったのよ」

彼女はそういうと電話口で泣き出した。

人に何かをしてあげること。

それはもしかしたら、自分が、目に見えぬ多くのものに、愛され支えられていることを、素直に感謝する瞬間なのかもしれない

次のステップはまだ遠い。

でも私はあの友人のお陰で、ほんの少し心の階段を上がることができたかもしれないと思っている。(終り)

‥‥‥‥‥‥‥

明日から、「感動する色々な家族像」と題して(5話)紹介させていただきます。

第1話「野球、ごめんね」第2話「父親の宝物」第3話「彼の携帯」第4話「立派な母親」第5話「最後の晩餐」です。全てⅠ話完結です。

第一話の【野球、ごめんね】は、ここからです。

幼い頃に父が亡くなり、母は再婚もせずに僕を育ててくれた。

学もなく、技術も無かった母は、個人商店の手伝いみたいな仕事で生計を立てていた。

それでも当時住んでいた土地は、まだ人情が残っていたので、何とか母子二人で質素に暮らしていた。

娯楽をする余裕なんてなく、日曜日は母の手作り弁当を持って、近所の河原で…

‥‥

九州地区の被災地、被災者への被害がこれ以上拡大しないことを願って…

今日も、素敵な一日をお過ごしくださいませ。

それでは、みなさま、 「キュ」