仕事を楽しむ(全4編)その4
【3】そうじの神様から教わったこと
金田はカーストディアルの初代のマネージャー、チェック・ボヤージンさんから教えて貰ったんだけど、前置きして増田に解説を始めました。
キャストは、次の4つのキーワードを優先しなければいけません。
1.安全、2.礼儀正しさ、3.ショー、4.効率 1番から4番までは優先順位になっています。
何よりも一番大切なのは「安全」です。
清掃は、パレードやアトラクションを演出するための舞台づくりといえます。
カストーディアルは、最高のエンターティナーともいえます。
だからカストーディアルも、キャストと呼ばれるのです。
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金田は解説が終わると、ポケットからディズニーランドのチケットを取り出して増田に渡しました。
「これで娘さん達をお昼に連れて来て下さい」
増田は妻と娘達を、初めてディズニーランドに招待しました。
昼のディズニーランドは、自分がいつも見ている世界とは別世界でした。
賑わう人々、陽気に手を振るミッキーやミニー、一息ついたあと、ゴールデンカルーセルに向かいました。
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毎晩、月夜に照らされてじっとしている馬達は今、キラキラとした光を放ち、まるで踊っているかのように回っていました。
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その時、ひと組の家族がやってきて、娘にシャッターを押してくれるように頼みます。
娘がカメラを受けとって、ゴールデンカルーセルを背景に適当な角度でシャッターを押そうとした時、
「だめだめ。それでは馬が写らないよ」
といって娘からカメラを取り上げて、ビックリする娘を横目に増田は、カメラを構え直すのでした。
増田はシャッターを押しながら、馬達につぶやきました。
「お前たちを、このパークで一番の人気者にしてあげるからな」
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それから1年後、
90頭の馬達にそれぞれ名前を付けて心を込めて磨いている増田がそこにいました。
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仕事を楽しめない人にも、あるいは社員のやる気を引き出したい経営者にも知って頂きたい話だと思い今回紹介させていただきました。(終わり)
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明日は父の日ですね。
今回は頑張る「お父さん」へエールを送ります。
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木村(仮名)さんは、3店舗のラーメン店を経営していました。
もともと、ある食堂の厨房で下働きをしていた木村さんにとって、自分の店を持つことは当初からの夢でした。
そして、念願かなって、1店舗目をオープンすることができました。
目新しさもあって、一時はそれなりの人気店になり、その勢いで続いて2店舗目、3店舗目をオープンさせました。
ところがその後、売上はいっこうに伸びず、それどころか次第に客数も段々減少していきました…
題して、日本一のパパ(全2編)です。