日本一のパパ(全2編)その2
「にほんいちのぱぱ」「にほんいちのぱぱ」「!」「!」
思わず、木村さんの目に涙があふれ、頬を伝わって流れていきました。
「・・・・・」子供を抱きしめながら、ただ泣きました。
それまで、必死に耐えていた「心のたが」が外れたように、あふれてくる悔しさを我慢することが出来なくなりました。
悔しい・・なんと、自分は情けない人間なのであろう。
子供の言葉に素直に、「そうだよ」と、うなずけない自分が・・本当に悔しい。
日本一どころか、明日食べていけるかどうかもわからない。
この子は、それでも自分のことを、日本一と思っている・・
その日、木村さんは布団の中で目をつむっても涙が止まらず、とうとう一睡も出来ませんでした。
それから木村さんは、一念発起し、気分を一新し貪欲に情報を集めました。
来店されるお客様には、何が不足しているのかを尋ねました。
他店でのお客様の会話にも必死に耳をそば立てました。
そして良いと思ったことは、次々に行動に移していきました。
「どんな苦労をしてもかまわない。子供が誇りに思うような父親に、絶対なる!」
毎日、毎日、これまでのやり方を否定し、新たな工夫・研究を続けた結果、次々と新しいメニュを作ることに成功していきました。
・・・
実はこの話の陰には、妻、幸子さんの内助の功がありました。
仕事の面では、何も手伝うことが出来ない幸子さんは、心の中でいつも、彼を励まし続けていました。
仕事が終わり、疲れて戻った夫に顔を合わす時には
「アイコンタクト」「うなづき」「笑顔」を、忘れることなく注ぎ続けました。
そして、帰りの遅い父親がいない家の中では、毎日子供に語りかけていたのです。
「あなたのパパは日本一のパパよ」
『仕事が夢と感動であふれる5つの物語』きこ書房
たった一人でも、大切に思ってくれている誰かがいてくれているだけで人は頑張れる。
そして、時にはその一人のために、命さえかけることも出来る。
「日本一のパパ」
もし、子供にそう言われたら、どんな苦労も耐えられる。
そう思いませんか? (終わり)
・・・
私は来年60歳いわゆる還暦です。
人生の最終コーナーだと自分では思っております。
みなさまは、自分のお葬式イメージされたことはありますか?
その時、友人や家族からどのような言葉を言って欲しいですか?
わたしは、自分のお葬式をイメージし、これからの人生時間を歩んで行きたいと思っています。
明日から、「人生ここが一番おもしろい」(全3話)をご紹介致します。