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恩を贈る(全2編)その2

起こってしまった災害や、失ってしまった命や財産は取り戻すことはできないが、悲しみの中で得た大切なことへの気づきは語り次いでいくことが出来るもの。

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脈々とつながれていく、歴史の中で自分が受け取った大切なことを次の世界へ伝えていく。

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東日本大震災から、3ヵ月が経過した日々に偶然経験した、そんな出来事が、私の心に強く響いた。

私は、どんな大切なことを受け取り、どんな形で伝えていくのかつながれていく歴史に、思いを馳せて自分の持ち場で、全身全霊で仕事をしていこうと、改めて決意した日沖縄の本土から、さらに南に400キロ強南勢諸島の中にある、石垣島では仕事が無い人を、皆が当たり前に助けるという。

「素晴らしいですね」と言ったら、

「恩送りだ」と、地元のおばさんが、こともなげに言った。

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「恩送り」、もらった恩を、自分を通じて、周りの人に贈っていくという行為

江戸時代の人が、日常的に行っていたと言われるこの言葉。

現代の辞書には載っていない。

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失われてしまったこの美しい行為を、日本の最南端に近い石垣島の人達が、当たり前に実践していたという事実

せっかくもらった恩だから、そのまま「送る」だけでなく、自分と言う存在を通じて、一味の価値を加えて、次の人に「贈る」という行為に発展させたい

 

「恩贈り」 それはつながりを紡(つむ)ぐということ

 (終わり)

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明日から「三つの話」3連載いたします。

(第1話)ヒツジとヤギ

川を渡るために、丸太の橋が架けられていました。

その橋は大変幅が狭いのです。

ある日のこと、二匹のヒツジが橋で会ってしまいました。

二匹ともせかせかと橋を渡り始めます。

橋は狭かったので、その二匹は、すり抜ける余地はありません。

しばらく立ち止まりました。

相手のヒツジをみて、一方は怒りだしました。

その二匹は角を突き合いぶつかり合っているうちに、二匹とも橋から転落して死んでしまいました。・・・