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ある大工さんの引退(全3編)その3

話は変わりますが、世界の経営者やビジネスマンに大変な影響を与えた、P・F・ドラッカーは、「プロフェッショナルの条件」の中で、「自分の人生を変えた7つの体験」を書いている。

・・・【18歳の頃、ハンブルグの有名な私立図書館に勤務していた頃の話がある。

ある時80歳になった音楽家ベルディの最後の作品で、大変難しいオペラ「ファルスタッフ」を見に行った体験である。

場所は、ヨーロッパで最高水準にあったドイツ・ハンブルグの「オペラ座」である。

・・・

『信じがたい力強さで、人生の喜びを歌い上げるあのオペラは、80歳の人の手によるものだった。

18歳の私には、80歳という年齢は想像も出来なかった。当時平均年齢が50歳そこそこだったため、80歳は珍しかった。

当時、ベルディは、既にワーグナーと肩を並べる身でありながら、しかも80歳という年齢で、「あなたは、何故並はずれて難しいオペラを、もう一曲書かれるそうだが、なぜそんな大変な仕事に取り組まれたのですか?」との質問に、ベルディは、「いつも失敗してきた。だから、もう一度挑戦する必要があった」と答えた。

私はこの言葉をわすれたことがない。それは心に消すことのできない刻印となった。だから私は、その時そこで、一生の仕事が何になろうとも、ベルディのその言葉を「道しるべ」にしようと決心した。その時、いつまでも諦めずに、「目標とビジョン」を持って、自分の道を歩き続けよう。失敗し続けるに違いなくとも、「完全を求めて」いこうと決心した』

・・・

『最善を尽くし続ければ、その時の最善の結果が生まれる。天は、自ら助くるものを助く』。

これらの言葉は、誰もが知っており、誰もが何度もそう思っている。

しかし、最後まで、それを追い続けることの出来るひとは、限られている。

能力の違いではなく、心の持ちようの問題なのだが・・・(終わり)

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明日から『人生は一度きりの晴れ舞台』(全2編)です。

社会生活は一つの舞台である。

特に、それで報酬を得また人間性も問われる。

仕事の場などは、舞台も舞台、人生における歌舞伎座アポロシアターオペラ座のようなものである。

「晴れ舞台」なのだ。

その一挙手、一頭投足が衆人環境の中で行われ、一つひとつの行動が、その人の人間としての評価に結び付いていく・・・・・