至誠を貫いた三国清三さん(全3編)その1
三国さんと言えば、フランス料理の第一人者です。
「世界に知られる日本人シェフ」と言われています。
三国さんは、昭和29年に生まれました。
で、なんと昭和44年、15歳の時に、北海道でNO1と言われる、札幌グランドホテルの厨房に入りました。
この人、ものすごい才能があったのです。
たった数年間働いただけで、若くして、この花型シェフになるのです。
でもこの人、まだまだ志が高いのです。
料理の頂点を目指して、東京に行くのです。
行った先は、帝国ホテル。当時、日本一のホテルです。
・・・
「ムッシュ村上」と呼ばれていた方です。
ご存知のようにフランス料理では、日本一といわれていた方です。
村上さんは、平成17年に、84歳で亡くなってしまったのですが、その村上さんに、三国さんは、最初の日にこう言われました。
「鍋でも洗ってもらおうか」と言われたのです。
三国さんにしてみれば、
「俺は、札幌グランドホテルで人気のシェフだったのだ!」
というプライドがあったでしょう。
「その俺に、鍋洗いをさせるとは、どういうことだ!」
って、ムカッとなったそうです。
でも三国さんは、さすがです。
「それなら、三国の鍋洗いを見せてやろう」と思い、
その日は、徹夜で鍋の取っ手のネジまではずして、綺麗に磨き上げたそうです。そして、翌朝その鍋を、調理台の上に、ズラ~っと並べて置かれたのです。
明日(その2)はここからです。
村上さんはそれを見て、三国さんに、「綺麗に洗えていたね」と、
言ったそうですが、三国さんが「今日は、何をさせてもらいましょうか?」と、訊いたところ、また、「そうだなぁ、鍋でも洗ってもらおうか」って、言われたそうです。
で、なんと、このあと三国さんは、2年もの間、なべ洗いを続けたのです。勿論悔しかったと思います。