ある達人(その人は…マギー司郎さん)(全3編)その2
プロと名乗るマジシャンでも、経済的に食べていける人などごく少数に過ぎない。
司郎がストリップ小屋に立っていた頃から、40年を経た今でも、サラリーマンと同じ生活レベル保てているプロマジシャンは1割に満たないという。
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「どうせ食べられないのなら、みんなと同じことする必要はないよな。だったら、ちょっとチャレンジしてみようか」と今までの芸風を壊し始めたら生活の方も人並みになってきた。
今では「マギー一門」として沢山の弟子を抱えている。
弟子の中でも出世頭となったマギー審司(昭和48年気仙沼生れ、平成6年マギー司郎を師事)も億単位で稼ぐ芸人に育ってくれた。
だが、師匠のマギー司郎が弟子の審司を高く評価しているのは、立派に稼げるようになったからではない。
今でも昔と変わらず、「自分の荷物を自分で担いで持って歩いているから立派だ」とみているのだ。
大切なのは人柄なのだ。
稼げるようになると、急に周りに荷物を持たせるなどして、上からの目線になる。
やがてそれが芸風に現れる。
司郎はそれを嫌うのだ。
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そのマギー司郎が平成16年に出演したNHK『課外授業ようこそ先輩』が、第31回日本教育番組国際コンクール最優秀番組東京都知事賞を受賞した。
マギー自身が、自分の手品の上手さを観客にアピールするのを止めて、自分の弱点(氏曰く、手品の下手さ)をさらけ出すことで上手くいった。
それを子供達に教えようというのだ。
番組の中でマギーは、小学校の教室で子供達の前に立ち、「ふだん内緒にしている自分の欠点をあえて表に出し、自分をさらけ出してから手品をしよう」と提案した。
子供達は最初、あきらかにとまどっていた。
だが、時間をかけ、勇気をもって心を開いていく子供達。
「家と学校では態度がちがうということ」
「嫌なことがあると直ぐに人に八つ当たりしてしまうということ」
「実は勉強も出来ないということ」
「手先が不器用であるということ」等々、コンプレックスを告白する。
明日(その3)はここからです。
隠していた本当の自分をみんなの前で見せて、そしてマジックをする姿にはちょっとした感動すら覚えた。
そして全員が見事な技を披露し終えた後の、あのクラスの一体感、視聴者に感動を与えた。
最後にマギーが締める・・・