長い「静」と急な「動」全3編(その1)

日本人のコミュニュケーションの取り方の特徴を三つ挙げるとすると、

「以心伝心」「あうんの呼吸」「腹芸」といった言葉が浮かびます。

外国人からすると、日本人はちょっと不思議なコミュニュケーションの仕方をすると思っているようです。

この三つ意味を説明する時、参加者から必ず出る質問は、「日本人はテレパシーを使っているのか?」です。

なにしろ「言葉を使わないで、呼吸を合わせてしまう」というのですから、外国人には驚きです。

ですが最近は、日本でもこうした意思の疎通の仕方では、上手くいかなくなりました。

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西洋史学者の木村尚三郎先生は、西洋社会におけるコミュニュケーションとはどういうものか、次のようにお話をされています。

キリスト教の聖書「ヨハネによる福音書」には、「はじめに言葉(ロゴス)があった。言葉は神と共あり、言葉は神であった」と記されており、そのロゴスはイエス・キリストの本質であると理解されています。

なぜ百年間も戦争をした国同士や、血を血で洗うような戦いをつづけた国々が、欧州共同体(今の欧州連合)のように一つの共同体として、まとまることが出来るのでしょうか?

それは、彼等はまず、言葉と言葉を戦い合わせて互いの考えを理解し、「妥結点」(妥協点ではありません)を見出したら、ガッチリと握手をするからです。

つまり共有できる価値観を見つけようと、言葉と論理によって摺り合わせをしているのです。

次回(その2)はここからです。

木村先生のお話に戻ります。

先生は日本人のコミュニュケーションの特質を、「長い静と急な動」とおっしゃっておられます。

初めは、ずっと静かにしているが、急に行動を起こすというのです。

代表例として「相撲」水戸黄門を挙げていらっしゃいます・・・