2)人間理解『大相撲力士…栃東の戦い方』全2編(その一)

 大相撲に興味にある方で、40歳以上の方なら覚えていらっしゃるかと思います。

2000年大相撲5月場所11日目。

8勝3敗で勝ち越しながら、各方面から非難を浴びた力士がいました。

貴闘力に勝った関脇栃東は、若干23歳で、若手の先頭を行く将来も相撲界を背負って立つ有望力士です。

とこか勝ち越が掛かるとか、大事な一番になると、立ち会いに変化して確実に白星をつかむケースが目立っていました。

そのあっけさにお客様は、ざわざわとあきれたような反応をしました。

大事な時に決まって変化する(別の言い方をすると、逃げている)ということが、伝説になりかけている。

その為、審判部も「逃げているかもしれないぞ」と思って見ていると、やはりその通りになる。この日も、また原点となってしまいました。

この日大戦をした貴闘力は「俺と10歳も違うバリバリの若手だろう。俺のような土俵人生が終わりかけの相撲取りに対して、あんなことをして勝っても嬉しくないだろうなあ。相撲界の将来を背負う人が淋しいよ。俺なんかには、まともに来たって、勝てそうなのに」寂しそうだった。

時津風理事長は「いけないことだと注意されているのに、彼は聞く耳を持っているのだろうか。あんな相撲で勝ち星を積み重ねたって、何にもならん」と。

どの新聞にも、彼の相撲の姿勢が批判されている。

ここまで一横綱大関を撃破してきた活躍が、帳消しになってしまう。

その日以降成績は1勝3敗になり、9勝6敗とじり貧に終わりました。

 

…長くなりますので、続きは次回で…「キュ」