9)地獄と極楽の違い(極楽編)その3
老人は極楽を見て、おやっと思った。というのは、極楽もさっきの地獄同様に、丸いテーブルの上に沢山のご馳走が並んでいて、その脇に2メートルくらいの長い箸が置いてあったからである。
先ほどの地獄の人達がいた所と、同じ状態ではないか?どこか違う所があるのか、目を凝らしてじっと見つめた。
すると、違っているところがあった。
テーブルを取り囲む極楽の人々の表情である。
皆にこにこして、実に幸せそうである。
「どうしてだろう?」と老人は不思議におもった。
だが食事の時間になると、その訳が分かった。
極楽の人達は、ご馳走をつまむために、やはり長~い箸を使わなければならなかった。
しかし、つまんだ物を自分の口ではなく、テーブルを挟んだ、前の人の口に運んであげていたのである。
すると、その人は「ありがとう」と感謝し、そのお礼に自分の箸で食べ物をつまみ、相手の人に食べてもらっていた。
そういうことを、誰もが互いにやっていたのである。
極楽では、まず人のことを思いやっているようである。
仮に、箸を使っている時に、隣の人の体に触れることがあっても、「あっ、ごめんなさい」と互いに謝り、不愉快なことにならないように気を使っている。
そうして食事の時間が終わる頃は、極楽の人々は、ご馳走を存分に食べて満足し、食事を通して互いに仲良くなる。
- 地獄の人は、自分だけのことを考え、奪おうとする人々である。その結果、幸せにはなれない。
- 極楽の人は、人のことも考えて、まず与えようとする人々である。その結果、幸せになれる。
次回は、まとめです。最後までご覧くださいませ。「キュ」