93)過労自殺を考える(ストレスチェック:安心して使える制度に)
一昨年から”職場でのストレスチェック制度”の運用が始まりました。
50人以上の従業員を抱える企業は、今月までにストレスチェックを実施無ければならなくなっています。
過労死など仕事のストレスで心身の不調に陥る人をなくそうという目的で始まった制度です。
これまでお話してきましたが、ストレスがたまってくると自分で自分の状態を判断する力が失われてきて、いつもなら出来ていた自己チェックができなくなり、自ら命を絶つしかないと考えるまでになるのです。
これを防ぐには、個人の工夫に頼るだけでは不十分。
周囲からの支援が不可欠なのです。
その手立ての一つとしてストレスチェック制度が法制化されました。
働く人が質問票に答えることで、自分のストレス度をチェックし、高いストレス状態にあるとわかった人は、希望すれば産業医から企業に結果を開示し、ストレスを改善するように企画側に働きかけることができます。
ただ、現実には上手く活用できていない企業が少なくないようです。
そもそも、職場が原因で自分がストレスを感じていると申し出る労働者がほとんどいないのです。
それを知られることで、どう思われるか。
訴え出ることで職場の上司や仲間を批判しているように受け取られるのも本意ではありません。
制度上は訴え出ても不利益にならないとされていますが、目に見えない形で不利益を被るのではないかと考えている人も多いとおもうのです。
このままではせっかくの制度が生きてきません。
情報を開示しなくても相談できる仕組みの充実など、有効活用に向けての改善を続ける必要があるとおもいます。
今回は、「電通事件を考える」と題して、こころの問題を取り上げました。
次回から、また「ざっくばらん」を投稿いたします。よろしくお願いいたします。
(社)診療対話士協会認定
心療カウンセラー 石橋