96)人間理解『大相撲力士…栃東の戦い方』(その二)

 当人の栃東はというと、「本当は思い切ってぶつかるつもりであったが、勝ち越しが掛っていたし、緊張してつい…。とっさに動いちゃった」とちょっぴり照れくさそうだった。

この癖がある為、これまでも技能賞の常連なのに、賞の対象から外されることがあるのです。

マイナス評価を受けることが分かっていながら、本人も何故そうなるのか、解っていない。

これもまた「性(さが)」の領域であろうか。

一方、これまで癖であった引く欠点を直し、前に出ることに専念した福岡県直方出身の小結魁皇が、友綱部屋としては、84年ぶりにゆうしょうし、殊勲・敢闘両賞を手にしました。「性(さが)」だと言って割り切っていては成長しません。

 

後日談があります。さすがに周囲からの批判にようやく気付いた栃東は、引くことを禁じ手に精進し、見事大関まで上り詰めたのです。

「性」は確実に存在します。

それを意識して、それを乗り越えようと思う人は、必ず超えられることであると信じたいです。

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