103)「扉の国」と「障子の国」(全2編)その2

先の東日本大震災の時のような非常時になると、そのよき資質が現れる。

海外メディアが驚嘆した「日本人らしさ」であります。

しかし、アメリカを筆頭に他国と行くと、この以心伝心が通じないことが多いと聞きます。

言語も習慣も違う多民族国家の中では、自分を主張し、意見をハッキリ言わないと何も通じないからです。

相手が理解してくれるのを待っているだけでは、扉はピクリとも動きません。

子供のころから、人前でプレゼンする訓練を受けてきたアメリカ。

時には、熱意や姿勢を派手に出すことも必要です。

問題は、どうすれば「惻隠の情」が育つか、と言うことです。

そこには「わがまま」を抑えることから始めるのが一番でしょう。

そして、その第一歩は行儀作法を良くすることです。

具体的には、

1.「ハイ」という返事が元気よく言える。

2.「おはようございます」などの挨拶がきちんと言える。

3.脱いだ靴のかかとを揃える。

4.姿勢を正す。

5.朝寝坊をしない。

この5つが大事だと思います。

・・・・・・・・・・・

一見「惻隠の情」とは無関係のように思われるかも知れませんが、洋の東西、時の古今を問わず、

行儀作法を教えないで、人間らしい心を説いた人はありません。

何故なら行儀作法は、人間のみ出来ることであり、その意義が理解出来るのも人間だけだからです。

…・・・・・・・・・・

小学校の児童に「人間としての土台3原則」という話を聞いたことがあります。

1.       あいさつは自分から先に

2.       返事は「はい」とはっきりと

3.       脱いだ履物は、踵を揃え、立ったら椅子は机の下に

この3つです。

この3原則を説かれた先生は、この3か条こそが人間の生き方の基本であり、これさえ身に着ければ、人としての土台ができるとおっしゃるのです。