108.三つの話(全3話)第2話

(第2話)有るべきか、無い方が良いか

仏教思想家の「ひろさちやさん」は、「極楽世界はあるか否か」という質問をよく受けるそうです。

その時「あるか、ないか」を説いても、誰も行ったことも見たこともないのだから、いくら説得させようとしても無駄であります。

そうではなくて「『有るべきか、無い方が良いか』を説けば良いと悟った」と言われます。

例えば、医者が患者を手術する時、患者は助かるだろうか?死ぬだろうか?といった風には考えません。

患者を助けなければと考えて、一生懸命に努力するはずです。

それと同じで、浄土があるか無いかではではなく、「浄土はあるべきだ」と考えて信じれば、生き方が違ってくるはずだと、語っておられます。

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フランスの数学者で、哲学者でもあったパスカルも「神があるか、無いかはわからない。

しかし、神がある方に賭けたら、人生は喜びに満ち、無い方に賭けたら悲惨の極みだ。

だからある方に賭けた方が、得だ」と言った。

信長が好んだ謡曲『敦盛』では、「人間五十年…夢まぼろしのごとくなり」と謡うが、浄土や神はあると思って前向きに生きたいものです。

「生まれ変わり」について以前、こういう話を聞いたことがあります。

生まれ変わりがあると信じ、「この世は修行だ。感謝で生きよう」などと思っていた人が亡くなったあと、あの世があったとしたら、「自分は間違っていなかった、ラッキー!」と思うので、プラス1点。

・・・逆に、生まれ変わりなどない、などとうそぶいて、「汚い言葉を使ったり、人をだましたり、平気で悪い事をしてきた人」が亡くなって、もしあの世が存在したら、愕然として、身もだえするような後悔の念にかられるので、マイナス1点。

・・・そして、生まれ変わりを信じている人も、信じていない人も、あの世がなかったとしたら、それは存在しないのだから、マイナスもプラスも無いゼロ。

だから、信じた方が確率論から言っても得だ、と言うことだった。

あの世や、神は見えない世界だし、証明できない世界。

この手の話は、あまり言い過ぎると怪しく思われてしまいますが・・・。

しかし「ある方に賭けた方が得」。あの世や神は、あると思って生きた方が、人生を豊かに生きられるようです。