数が質に変わる(その二) 経験とは“時間”と“数”

(小売業の話ですがビジネス全般に普遍的であると思います。参考にしてください。

また重要な内容だと思いますので、丁寧に説明します)

新入社員時代、徹底して勉強させられたのが、「数量管理」でした。毎日売れた商品の統計をとります。一か月の販売数を数え、統計をとると、曜日毎の変化、天候による変化、売れ筋、売上不振商品がアイテム毎に把握できるようになります。また、自然に「今日は牛乳が何本売れるか」予測出来るようにな

ります。とにかく若い時は数を数えました。小売業は突き詰めると「数量管理」の世界なのです。お客様の動きを、要望を数量として把握できなければ成り立ちません。来店客数、買い上げ客数、買い上げ点数など「金額管理」だけでは判断を間違うことになりかねません。高額商品の販売高より少額でも販売数が多い方が良いのです。POSデータを見るだけでは身に付かないものがあります。それは、経験という質に転化できる触媒を持たないことに他なりません。優れた弁護士は、事例を沢山持ち、優秀な外科医は手術経験が豊富であるようにです。CMでご存じのI社は植樹活動に力を入れています。今から30年ほど前から始めました。原則として新店開設前、地元お客様のボランティアによる植樹です。植木業者が植えるのでは意味がありません。ご参加を頂いて共に鎮守の森をつくるのです。すでに700か所以上、その植樹の数は1000万本に達します。中国においては、1998年に開始し、2009年には100万本に達しました。中国北京出店に際しては、中国政府から出店要請がありました。長い年月をかけたI社の環境に対する姿勢が評価されたのです。100万本という“数”が「信頼」という無形の資産である“質”に変化したのです。