『踊る大捜査線』にみる組織とリーダーの醍醐味(その六)
※ダメな上司の方が人は育つ(部下が優秀な場合ですが)
警察でも、現場から上がっていった人には、上司になっても現場好きが多いらしくて、自分のやり方はこうだと口出しをする。
それが何十年も前の殺人事件での経験だったりする。
現場経験が長いと、役職についても現場好きの癖がなかなか抜けない人がいます。
これでは下は動きようがなくなってしまいます。
だから、このような人はあまり頻繁に現場に行かない方がいいんです。
現場はやっぱり現場リーダーのものです。
『踊る』でもスリーアミーゴス(湾岸署の典型的ダメ管理職三人組)は下からバカにされても嫌われてはいません。
それは、自分たちは仕事をしない代わりに、全部現場に任せてしまうからです。
あの三人がいたお陰で、青島たちが野放図に出来た。
優秀な管理型より、「あんたたちが苦労しなさい」というスリーアミーゴス型の上司のほうが、人は育つのかもしれません。
部下にもよりますが、優秀な部下の場合は、スリーアミーゴス型の管理職の方がいいんです。わたしの経験ですが。
※リーダーシップとは?
『踊る』でもう一つ考えさせられるのがリーダーシップとは何なのかという問題です。リーダーというと、人々を強力に引っ張っていくイメージがありますが、私が最近注目しているのは、上司は、上に立つほどなかなか現場が見られなくなるので、大きなビジョンや原理原則は語っても、後は現場に任せ、むしろ現場のサーバント(奉仕者)になるべきであるという考え方です。
経営者や上司のほうが部下に尽くし、奉仕する。
リーダーの為に部下がいるのではなく、部下の為にリーダーがいる。
アメリカのロバート・K・グリーンリーフという、かつてAT&Tに勤めていた人が提唱した「サーバント・リーダー」と呼ばれる概念です。
リーダーシップとは、リーダー一人で頑張っても成り立たず、リーダーたる人物に対してフォロワー(部下)が喜んで付いていこうと思った時、フォロワーの気持ちの中で意識されるものです。上に立つ人間が現場に対して、サーバント・リーダー的な発想を持てば、現場もこの人の下だったら働きたいと思い、ここにリーダーシップが成り立つのです。