機転が利く(全3話)その2「貧しい農家の娘の話」
2つ目はゲームの理論より「囚人のジレンマ」に「貧しい農家の娘の話」があります。
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地主から多額の借金をしている貧乏農家の父娘に、意地悪な地主が厳しい選択を迫っています。
「息子が、あなたの娘に好意を寄せているので是非結婚させたい。
承諾すれば借金は帳消しにする。
断るなら、今すぐに家と畑と借金を返してもらいたい」。
しかし、その娘には愛を誓い合った別の婚約者がいる。
当然お金にあては無く、借金を返すことなど出来ません。
父娘が途方にくれていると再び地主が迫ります。
「決められないならこうしよう。
今から我々の足元に、無数に散らばっている白い石と黒い石がある。
この石を白、黒一個ずつこの袋にいれる。
娘さんに袋から石を取り出させ、その石が白いなら、息子の結婚は諦めて借金も帳消しにしよう。
その代わり黒い石なら、借金の代わりに娘さんを頂く。
何れにしても、借金は帳消しだから、悪い話ではないだろう」
父親はどうしようもなく、頷くのみであります。
娘も目に涙を浮かべながら承諾しました。
地主はにやりと笑って、転がっている2つの石を袋に入れます。
……………
しかし次の瞬間、娘だけが衝撃的な光景を目にします。
地主は『黒い石』だけを、2つ袋の中に入れたのです。
このまま袋から石を取り出せば確実に、黒い石を取り出すことになります。
地主の不正を追及したら、彼は激昂するはずです。
次に何を言い出すか分りません。
全く酷い話です。
あなたがその娘の立場だったらどうしますか?
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娘は地主が持っている袋から、石を取り出す瞬間に手を滑らせて、石を地面に落してしまう。
そして次のように地主に言いました。
「地主様、本当に申し訳ございません。私ったら緊張して手が滑って石を落としてしまいました。地面にある無数の石にまぎれて、何色の石を取り出したか分らなくなってしまいました。でも地主様、大丈夫です。袋の中に残っている、もう1つの石の色を確認すれば、私が取り出した石の色が分りますよね」と。
(袋には黒、従って娘が落とした石は、白ということになる)
この娘は選択肢が無いと思われたケースから、新たな選択肢を作りだします。
機転を利かせて事態を好転させた例であります。
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明日のその3は
『工場で働くパートタイマーさんの体験談のお話』とまとめを致します。
今朝の四日市は朝から吹雪がふいて凍えるような寒さです。
みなさん、風邪には十分注意して下さいませ。それでは、 「キュ」