東日本大震災から5年(全8編)その8
深々と頭を下げる
震災後、私が大変感銘を受けたのは、両陛下が被災地を訪ねられた時(雑誌で読んだのですが)最初に海に向かって深々と頭を下げられました。
それから、今度は山に向かって、また頭を下げられました。
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なぜ、そうされたのか。
私たちはよくよく考えなくてはならないと思います。
人間と自然との、共存共栄を願われる両陛下のお姿です。
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いま世界中でエンペラーと呼ばれる方は天皇陛下ただお一人です。
それに次ぐのがキング、あるいはクイーン、すなわち国王であり女王。
その次が首相というランクです。
これが国際的評価です。
数年前、アメリカのオバマ大統領が来日され、陛下を前に45度以上、深々と頭を下げられました。
あれを見たアメリカのメディアの中には「オバマは卑屈だ」とあったように聞きますが、陛下には大きな仁徳による気高さがあるからでしょう。
これは理屈ではないです。
陛下は神代の神々と歴代天皇の命(みこと)を背負われていらっしゃるお方です。
その歴史の所以をしれば、ハッキリとしてまいります。
とのかくこれまでの歴史を省みれば、日本人は無数の災害を経験し、
これを逞しく乗り越えてきました。
世界の地震の2割は実に日本で発生しています。
地震山脈の上に、我が国は乗っかっているといえます。
そうした厳しい地勢上にありながら、いやあるからこそ、むしろ自然を怨(うら)まず受けいれていく。
ヨーロッパ文明のように、自然と対決しようなどとは考えないのです。
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本居宣長(もとおりのりなが)の和歌に
「しきしまの 大和心を 人問わば 朝日に匂ふ 山桜花」
というのがあります。
桜花の命を惜しむのか、あるいは、はかないものと諦観(ていかん)するのか、
決してそうではなく、来年になればまた花は咲く、つまり再生するというのが神ながらの精神です。
『日本精神を甦らせる道』より『月刊致知2012年6月号』致知出版社
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天皇陛下は毎年1月1日(元旦)の朝4時に、四方の神々に向かって国の安泰や豊作を祈って礼拝されますが、これを「四方拝(しほうはい)」と言います。
この四方拝は宮中の祭祀(さいし)の中でも、もっとも尊い祭祀の一つだそうです。
「国民に降りかかる害悪が、わが身を通して浄化されますように」
という趣旨の祝詞を奏上されると言われています。
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2700年、連綿として続く皇室祭祀です。
明治天皇はこう詠まれました。
「敷島の 大和心の 雄雄しさは ことある時そ 現われにける」
日本人にとっての雄雄(おお)しさは、自然と対峙(たいじ)することではなく、
どんなに悲惨な状況に陥っても、嘆(なげ)かずに、幾たびでも再生してみせること。今年散った桜花も、来年になれば、また綺麗な花を咲かせる。
太陽や天地自然に対し、畏敬の念をもって深々と頭をさげる……
そんな、気持ちで一日を過ごしたい。
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明日は、「でも、同じボタンを押すのは?」と題して、
私が、学生時代に、工場でアルバイトしていた人に聞いた話です。
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明日は、ここから始めます。
「楽天主義も悲観主義も一つの思考習慣によるものである。楽天家の人生が楽しく、悲観主義者の人生が暗いのは、当然である。どちらもそれを望んだからである」
J・マーフィー(アメリカの思想家)
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今日は金曜日華金です。素敵な一日をお過ごしください
それでは、みなさん 「キュ」