大病を治せる人とリーダー(全3編)その2
僕が倒れたのは、医師である恩師が亡くなった、
翌年の1998年だったのですが、
僕はとうとう彼の奥さんに、
こんな手紙を書きました。
「奥様、さようなら、僕はいま死ぬような大病を患っているのです。もう二度とこの街を歩き回ることもないでしょう。これから先生の元へ行きます」という内容でした。
そしたら奥様が、慌てて返事をくれました。
そして・・・
「あなたがそんな病気でいるなんて、とても信じられません。
私は医者ではないから、あならに何もしてあげることはできません。
けれども生前、主人が、私にいつも言っていただいた言葉を、あなたに贈ります」。
いただいた次の言葉が、僕をよみがえらせてくれたのです。
「人間誰しも、アウシュビッツ(苦悩)を持っています。しかし、貴方が人生に絶望しても、人生は、あなたにいつまでも絶望していません。あなたを待っている誰かや、何かがある限り、あなたは生き延びることができるし、自己実現できます。」
この手紙を、僕は何百回も読み返しました。
そうして考えたのは、
「いまの自分にとっての、生きる意味とはなんだろう」
と言うことでした。
そして考え続けた結果、
「あなたを待っている誰かや、何か」
の意味する所は、私にとっては
「医学教育であり、生きる意味は、探せばちゃんとある」
のだと感じたのです。
それから私は「よし!」と、
気合いを入れ直してリハビリに専念し、
毎日鍼治療も受けました。
さらに漢方薬や温泉治療なども行って、
二年後には、奇跡的に職場復帰まで果たすことができたのです。
明日(その3)はここからです。
奥様のあの言葉がなかったら、僕は今ここにいません。
医療もまさに心一つの置きどころで、
患者の側が自ら治ろうという気概を持たなければ、何も起こらない。
僕はこれを傘に例えています。
傘には布と芯の部分がある。
布の部分は、医療者や家族であり、芯の部分が患者さん本人ですよ。
これがなければ、傘の用をなさないですよね。
僕はこれをアンブレラ理論と呼んでいますが、
治療には絶対に必要なものと考えています・・・
・・・
※週末は全国的に暑くなりそうですよ。
熱中症にならないように気を付けましょうね。
それでは、みなさま、素敵な一日を「キュ」