幸福になる義務(全3編)その2

どんな仕事でも、失業してなかなか仕事が見つからない人にとっては、うらやましいだろうし、職がなくても健康ならば、病に苦しんでいる人から見れば、とても幸せに見えるだろう。

自分の中に「ある」ものでなく、「ない」ものを見ていては、いつまでたっても幸せを感じることが出来ないばかりでなく、今持っている幸せまで失ってしまうかも知れない。

逆に、ルノアールの例を見ても分かるように、たとえどんな境遇にいようとも、今「ある」ものを見て、それに感謝することが出来れば、それだけで、私達は幸せを手に入れることが出来るだろう。

何をやってもうまくいかない、連続の日を過ごしている男がいた。

同じ職場に、いつも幸せそうに仕事をしている人がいた。

ある時、勇気を出してその人に会ってみた。

傍から見て、その人が担当する仕事は、自分もやってみたいと思うような楽しそうな内容ではない。

そこで彼は尋ねてみた。

「どうしていつも、そのように楽しそうに仕事が出来るのですか?」

と彼は笑顔でこう答えた。

すると、「来年の春には子供が社会人になるんだよ。男手ひとりで育ててきたので大変だったが、ようやく一人前になってくれそうだよ。今やっているこの仕事を、世間の人は、やりたい仕事と思わないかもしれない。だが、我が家にとっては、息子の役に立っている貴重な仕事なのさ。息子が一人前になってくれることが、私の長年の夢なんだ。まもなくその夢を実現させてくれるこの仕事に、何の文句があるだろうか?」

くだんの男は、この人と会っている時間、話を聞いている時間が大変有意義に思えた。

「いつまでもこんなことをしている自分ではいけない。厳しい仕事なのに、あんなに元気に、自分の思いを語ってくれた。生き様のヒントを与えてくれた。我は何を求めていたんだ!」と感じた。

明日(その3)はここからです。

幸せは、他との比較ではなく、自分の中に「ある」ものを見つけよう。

他人が、幸せの大小を測る物差しでは無い。

自分の思いだけが、何よりの物差しだ。

「自分の夢が叶う」、幸せになる「権利」は、誰でも持っている

そして、幸せになる「義務」だって、誰にでもあるのかも知れない何故なら、貴方が幸せになることが、この世界全ての幸せに繋がっているのだから。

あなたの幸せが、人を幸せにしてくれるのだから。

「幸福になる義務ほど、過小評価されている義務はない。幸福になることで、人は世間に匿名の慈善を施している。だから幸福になることは、異議あることなのである」

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