99)世の中はここより他になかりけり(全2編)その2

『魂をゆさぶる禅の名言』双葉社より

玄峰(げんほう)老師がいつも口にしていた言葉が、この「世の中はここよりほかになかりけり」である。

静岡県の三島市に、山岡鉄舟が通ったという、白隠禅師ゆかりの名刹、竜沢寺(りゅうたくじ)がある。

しかし、戦後荒れ果て無住の寺のようになってしまったのを、歴代首相も訪れる寺として、立て直したのが山本玄峰老師です。

終戦の天皇陛下のお言葉「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」という文言も玄峰老師の進言によるといいます。

玄峰老師は、和歌山県の紀ノ川に、捨て子として捨てられていたが、その後、寺の住職に助けられ、禅の道に進みました。

 「放たれたところで起き上がる小法師(こぼし)かな」

……

人生には時として、思わぬアクシデントが起こり、試練や苦難がやってきます。

しかし我々は、どんな状況になろうと、起き上がり小法師のように、放り投げられたところで、起き上がるしかないのです。

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また、どんな預言者であっても、明日はどうなるのか、それどころか一瞬先がどうなるのかさえ分かりません。

人生は、「即今(そっこん)」

今しかないと思い定め、くよくよ心配せず、この瞬間を懸命に生きたい。