100).良いところを見ませんか(全3編)その1
「とても面白いから、絶対に見た方がいいよ」と、友人に誘われて映画を見に行きました。
その友人はストーリーのタネ明かしをしない程度にどんなところが楽しいのかとか、こんな興味深いシーンがあるよとか、事細かく教えてくれたのです。
観にいって大正解でした。友人が言ったとおり、見どころがいっぱいで最後まで楽しみ事ができました。
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そこで、次の日に会った別の友人にも、その映画を勧めてみました。
「ああ、その映画ならもう見たよ。つまらない映画だったね」意外なことに、彼はそんなことを言うのです。
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「だって、ストーリーにこんな矛盾があるし、あそこであの人が出てくるなんて、都合すぎるよ、それに・・・」と、彼は、なぜつまらなかったのかを、細かく教えてくれました。
しかし、そんな矛盾や都合よすげるシーンは、あまり私の記憶に残ってはいなかったのです。
また、彼は、私が伝えた興味深いシーンや感動する場面については「そんなシーンあったっけなあ」と首をひねるのです。
聞いてみると、彼は、前もってある雑誌で、この映画の問題点を指摘している映画評を読んでいたそうです。
ひょっとしたら、それが頭に残っていて、彼には問題のあるシーンばかりが、印象に残ったのではないでしょうか。
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逆に私は、映画の面白いところを聞いていたので、それを期待して観ていました。
だから面白いシーンばかりを観て、楽しめたのでしょうね。
『面白いと思ってみるか、つまらないと思ってみるか』、全く同じ映画を観たはずなのに、友人と私では、観ていたものが全然違っていたようですね。