『踊る大捜査線』にみる組織とリーダーの醍醐味(その三)

骨のある人物がいて、その背中をみて人材ができる】

 

最初の構想では、同じ本庁対所轄、キャリア対ノンキャリアという構図の中で、織田さんを本庁のキャリアにしようと考えたそうです。

織田さんをキャリアにした場合は、目の前に理想を揚げながら、それに反すると分かっていることも行わなければならないという役柄です。

下からは突き上げられるけど、下にいい顔ばかりしていたら仕事は成り立たない、というジレンマに常に直面するポジションは、主人公として絶対ドラマになると思いました。

でも、人間、やっぱり、汗水たらして初めて理想を語れる

理想に燃えて憧れの職業に就いたのに、この現実は何なのだ、誰に文句を言えばいいのだ、という違和感を通して、組織を浮き彫りにしていきます

ならば、ノンキャリアだということになったそうです。

「踊る」のもう一つの特徴は、登場人物の一人ひとりについても、現実世界と重ね合わせて見てしまうところです。

亡くなったいかりや長介さんが演じた和久さんという老刑事の役なんか、我が家の息子が見ても、ああこんな人がいたらいいな、と共感する訳です。

上からいくら偉い人が来ても、「おれはおれのやり方で行く」と、要所々々でスカッとするような発言をする。

和久さんは登場人物の中で一番きかん坊です。年をとればとるほどやんちゃで暴れん坊になっていくような人は確かにいます。

【組織には色んな人がいていいのです】

いかりや長介さん演じる和久さんはそういう点でドラマを魅力的にしています。それ以外にもドラマの中に色々な人間のモデルがいて、誰それのあの要素はうちの会社のあの人に似ているなど、あてはめて楽しめます。

なかでも予想以上にジャストフィットしたのが、所轄の湾岸署署長(北村総一郎)、副署長(斉藤暁)、刑事課長(小野武彦)の幹部トリオ、通称スリーアミーゴスでした。

事件が起きて特別捜査本部が設置されると、本庁幹部の接待を真っ先に考えたり、部下が溜めた領収書を経費削減のためこっそり破いたりと、姑息きわまりないのに愛すべきキャラクターでした

。ああいう上司って現実にいますよね。でも、あのような人も組織には必要なのだと思います。

効率だけでは計れないところが組織にはあるのだと・・・個人的には思いますね。

潤滑油と言うか…会社で言うと“総務の●●さん”仕事はダメでも最高にいい人って。