天使のお通り(その一)
不思議な一瞬の間
気心のしれている人達との夕食会に出かける。
久し振りの出会いに参加者間で、活発な話が進む。
大声で話す人や、笑い転げている人もあり、たいへん賑やかな会。
ところが、何度か、とても不思議なことですが、時として、突然あることが起こる体験をされたことがあると思うのですが…、少なくとも2,3回、突然全員黙ってしまい、話が途切れる瞬間です。
あれだけ楽しそうな声が、飛び交っていたのに、奇妙なことです。
おしゃべりを止め、お互いに不思議そうに見つめ合い、一瞬シーンとなる。
そして、それ程時間が経たないうちに、再び話が活発に飛び交う。
この瞬間のこと、現象を、フランスでは、会話が途切れた間をシャレて、「天使が通過したUn ange Passe」…「天使のお通り」と称するそうです。
天使が通り過ぎる時は、誰もが、それとは知らないうちに、静かになると言います。
そして、天使が通り過ぎてしまうと、再び会話を続けるのです。
大変シャレた魅力的な言い回しですね。
日本語には、このシャレ感覚がないそうです。
人生は常に躍動的で、活発な行動ばかりでは疲れてしまいます。
人生の中にある静けさは、他の人達とのつながりを強固にしてくれます。
静かさは、日常の騒がしさや、忙しさの為、心が滅ぶのを防いでくれたり、人生を豊かにしてくれます。
この静かさの恩恵を受けるには、汗をびっしり掻く努力をしないと得られないものではありません。
そんな難しいものでも、複雑なものでもありません。
静けさは、自分がいしきして求めさえすれば、誰にも平等に与えられるものです。
…次回の「天使のお通り」には、またあの栃東に登場して頂きます。ご期待下さい。