三つの話(全3話)3連載
(第1話)ヒツジとヤギ
川を渡るために、丸太の橋が架けられていました。
その橋は大変幅が狭いのです。
ある日のこと、二匹のヒツジが橋で会ってしまいました。
二匹ともせかせかと橋を渡り始めます。
橋は狭かったので、その二匹は、すり抜ける余地はありません。
しばらく立ち止まりました。
相手のヒツジをみて、一方は怒りだしました。
その二匹は角を突き合いぶつかり合っているうちに、二匹とも橋から転落して死んでしまいました。
別の日、今度は二匹のヤギが、先ほどの丸太橋の真ん中で会ってしまいました。
橋は狭いです。
後ろには下がれません…二匹のヤギは途方に暮れてしまい、しばらく立ち止まりました。
さて、ヤギさん、どうしたでしょうか?
・・・
一匹のヤギが、うつ伏せになって寝ました。
もう一匹のヤギの方は、理解しました。
彼は橋の上にピッタリと張り付いて寝ているヤギの背中の上に、ゆっくりと足を乗せて前に進みました。
そのヤギが行ってしまった後、もう一匹のヤギもゆっくりと起き上がり、二匹とも仲良く橋を渡りました。
・・・
「自分は正義」「自分は間違っていない」「相手が間違っているんだ!」と思う時があるかもしれません。
しかし、相手にとっても自分は正義なんです!
「正義と正義は、時にぶつかり合う」のです。
自分が勝つこと、自分が得をすることばかり考えるのではなくて、
自分が踏み台になってでも、相手を尊重すること、相手の為に何ができるか?
と考え行動すること、その心が幸せですね。
明日(第2話)は、『有るべきか、無い方が良いか』です。
仏教思想家の「ひろさちやさん」は、「極楽世界はあるか否か」という質問をよく受けるそうです。
その時「あるか、ないか」を説いても、誰も行ったことも見たこともないのだから、いくら説得させようとしても無駄であります。
そうではなくて「『有るべきか、無い方が良いか』を説けば良いと悟った」と言われます。
例えば、医者が患者を手術する時、患者は助かるだろうか?
死ぬだろうか?
といった風には考えません。
患者を助けなければと考えて、一生懸命に努力するはずです。
それと同じで、浄土があるか無いかではではなく、「浄土はあるべきだ」と考えて信じれば、生き方が違ってくるはずだと、語っておられます。・・・